STF量子ビームページ

2013.03.22
超伝導加速器を使った逆コンプトン散乱によるX線生成実験に成功 ! new

KEKの超伝導リニアック試験施設(STF)で実施されている、小型高輝度光子ビーム発生装置の逆コンプトン散乱によるX線生成実験で、3月15日(金)、逆コンプトン散乱によるX線と確認できる信号を捉える事に成功しました。

小型高輝度光子ビーム発生装置は、超伝導加速によって加速した電子ビームを、4枚ミラー光共振器に蓄積されたレーザーパルスと正面衝突させることにより、逆コンプトン散乱を起こし、輝度の高いX線を生成します。この技術を超伝導加速器に応用し、X線の生成に成功したのは世界初となります。
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2012.04.13
ビーム加速に成功!

4月11日に2台の超伝導空洞の調整作業が終了しました。 4月12日からクライオモジュールの上流と下流のゲート弁を開いてRF電子銃からの電子ビームの加速の調整を行って来ました。
その結果、本日15:31に加速された電子ビームを初めてSTFビームダンプまでトランスポートすることに成功しました。 引き続き、詳細なビーム調整に入っていきます。

スクリーンダンプ(制御画面)の説明
左側下段のオシロスコープには、電子銃直後のBPMの波形(ブルー)とクライオモジュール下流のウォールカレントモニターによるビームバンチ波形、クライオモジュール下流のビームラインに沿って貼られたオプティカルファイバービームロスモニター波形(グリーン)、が見えています。中央のスクリーンモニター画像はコンプトンチェンバー内の衝突予定点でのビームプロファイルが見えており、FWHMで1mmという大きさです。その隣りのウィンドウはビーム位置モニター表示であり、チェンバー内ほぼ中央の軌道である事がわかります。使用したオプティクスは衝突オプティクスではなく、衝突点での絞りを緩くしたビームコミッショニング用オプティクスです。

加速されたビーム
・エネルギー:40MeV
・チャージ:41pC/bunch、28バンチ
・繰り返し:5Hz
電子銃の運転パラメーター
・RF入力パワー:2.6MW(37.5MV/mのカソード電場に相当)
・ビームエネルギー:3.3MeV/c
超伝導空洞の設定値
・MHI-012:20.15MV/m
・MHI-013:21.5 MV/m

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2012.03.22
1msフラットビーム取り出し成功!

真空作業および各種調整を行い、3月21日より電子ビーム生成実験を再開しました。
(1) STF RF電子銃の入射レーザーの調整を行い前回よりフラットな1msビームを取り出す事に成功。
(2) RF電子銃空洞内のRF振幅と位相にデジタルフィードバックをかけて、更に安定化する事に成功。
来週も引き続き調整を進める予定です。

下記のスコープ写真
・青のトレース:BPM01の電極1と電極3の合成信号波形
・紫のトレース:レーザーへの切り出しゲート信号
・ビーム強度:30〜40pC/bunch
・設定バンチ数:162450バンチ
・RF入力パワー:2.6MW(37.5MV/mのカソード電場に相当)

(1) 電子銃レーザー調整後 (2) RFデジタルフィードバックON

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2012.03.07
1msのビーム取り出し成功!

STF RF電子銃からの1msビーム取出し試験において、下記のスコープ写真にあるように、162496バンチ設定(最大可能設定値は162500バンチ)で、約1ms(0.98ms)のビームを取り出すことに成功しました。

試験の途中で、ビーム強度が落ちてしまいましたが、BPMで検出できるくらいでホールドし、その時の写真となります。 その後の短いパルス幅での試験で、入射ミラー角度を詳細に調整すると、開始時のビーム強度を出力することができましたので、フォトカソード上のスポット的量子効率悪化、もしくは、途中光路上の透過率悪化が考えられます。

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2012.02.28
電子ビームの生成テストに成功!

下記の調整で、暗電流をかなり抑制でき、前日よりビームがはっきりとしてきました。
改善点:
・ICTモニターの極性が逆だったので、真空を開け、ICTチェンバーの方向を変更
・軌道調整をしやすくするために、ステアリングマグネットST0-Yをガン出口に追加設置
・RFパルス幅をふやしてプロセスして暗電流を抑制
・RFパワーを4.0MWから3.5MWに変更し、さらに暗電流を抑制
・軌道調整、RF位相調整、ガンソレノイド調整、バッキングコイルを調整
 (1) Beam ONと (2) Beam OFFの制御画面スクリーンキャプチャーと積分型電流モニター波形(黄色)、BPM波形(青)です。

(1) Beam ON時

(2) Beam OFF時

プロファイルモニター(図中央)は、シケーン通過後のもので、Beam OFFでうっすらと暗電流プロファイルが見えますが、Beam ONでビームは際立って明るい像となっています。

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2012.02.27
電子ビーム生成テスト

RFgun運転におきまして、電子ビームの生成を試み、ビーム取り出しに 成功いたしました。
 (1) Beam ON時と (2) Beam OFF時のシケーン中間部のスクリーンモニター像と積分型電流モニター波形(黄色)、BPM波形(青)です。
これらからわかりますように、暗電流がスクリーンモニター像にくっきりと見えています。

(1) Beam ON時 (2) Beam OFF時

(3) は、BPM(ビーム位置モニター)の波形拡大図です。35バンチのビームが見えています。
このときのビームエネルギーは3.7MeV、パルス電流値積分値は7.2nC(すなわち、0.2nC/bunch)の出力でした。 ただし、詳細なモニター校正はこれからですので、値は概算値です。

(3) BPM(ビーム位置モニター)の波形拡大図