基盤開発

レーザーパルス蓄積技術

逆コンプトン散乱による高輝度X線発生に関しては、KEKは既にレーザーパルス蓄積装置を開発して、マルチバンチ電子ビームとの衝突実験に成功している。

この実験によって、線形電子加速器で100bunches/pulse電子ビームを加速して、光共振器に蓄積された100mj、10psec(FWHM)レーザーパルスとの衝突により発生した30keV X線を検出したことにより、基本的なレーザーパルス蓄積技術と衝突制御技術は実証されたと言える。

KEKのレーザーパルス蓄積技術は世界最高レベルにあり、この技術と超伝導高周波電子加速器技術を駆使した小型高輝度X装置は、独創的であり、線形加速器を使った唯一実用化できる価値ある小型高輝度X線発生装置である。実際に発生できる一秒間当たりの光子数(フラックス)は、(1)25MeV、 48000nC/pulse電子ビーム(48mA相当)、(2)衝突点での電子ビームサイズ8um(rms)および衝突角5度(その他、ビームパラメータは常識的な値を仮定する)の条件で、パルス運転の場合1,3x10photons/sec・1%bandwidth(連続運転の場合 5.4x10photons/sec・1%bandwidth)である。この時のピーク輝度は電子ビームパラメータに依存するが、常識的な値を仮定して 2x10photons/sec・mrad・mm・0.1%bandwidthが期待でき、ポストゲノム、ナノテク、原子レベルでの構造解析等の飛躍的な発展に繋がる小型高輝度X線発生装置になる。

従来の2枚ミラー共振器から、画期的な4枚ミラー共振器へ
ATFで培われたビーム制御技術
レーザーワイヤ:б~8μm、電子ビーム:б~1μm